査定額に影響を与えるさまざまな要素
住まいの売却を考えたとき、一番気になるのは敷地の価値ですね。では、どのようにして敷地の価格は決まるのでしょう。敷地の価格は一般の商品やサービスのように「1個いくら」「1回いくら」と決まっているわけではないため、とてもわかりにくいもの。そこで今回は、敷地の査定額を決める要素についてご説明します。
最も評価が高いのは「整形地」
敷地の価格に大きな影響を与えるのが形状、つまり、敷地の形です。一般的に敷地の形で最も良いとされるのが「整形地」と呼ばれているもので、上から見て正方形や長方形がそれにあたります。
一方、形が悪い敷地は利用が難しい箇所が出てきてしまうことから、整形地と比較して価格は落ちることが多くなります。ピストルの形をした「旗竿地(はたざおち)」や、三角形の敷地などがそれで、「不整形地」と呼ばれるものです。よく見られるものですが、整形地より若干評価は下がります。
ただし、敷地の面積が広ければ利用困難な箇所の割合も小さくなりますから、評価に与える影響も限定的です。敷地の形状の影響は、広さとの兼ね合いで決まるとも言えるでしょう。
「いかに道路に接しているか」がポイントに
敷地は、道路に接する幅(間口)が広いほうが使い勝手が良いので評価が高めになります。たとえば、間口の広い敷地の場合、車の入口と人の入口を分けることができるため、建物を設計する上で自由度がアップするからです。
敷地の向きも重要なポイントです。いかに道路に接しているかを「道路付」と呼び、昭和の頃から重んじてきました。一面だけが道路に接している敷地を「中間画地」、直角に二面が道路に接している敷地を「角地」と言います。
評価が高いのは角地で、道路へのアクセスのほか、日照や通風にも優れているからです。なかでも東側と南側が道路に接している「東南角地」の評価が最も高くなります。
また、敷地と道路との高低差も評価に影響を及ぼします。道路よりやや高く接している敷地が、排水に有利なこともあり、良い敷地とされます。とはいえ、道路から高過ぎる敷地は階段を作る必要が生じるなどの理由から、マイナス評価の原因に。そして、道路より低く接している敷地も、排水などの理由から評価が下がる傾向にあります。
「どのような道路に接しているか」も重要
建てられる建物の大きさは、敷地に接している道路の幅(幅員)によって決まります。敷地には「容積率」という制限があり、この容積率は、接している道路の幅員によって決まるからです。
容積率とは、敷地の面積に対する建物の延べ床面積の割合のこと。容積率は、200%や100%といった数値で定められており、容積率が高いほど高い階数の建物を建てることができます。
敷地は、エリアによって建築できる建物の用途などに法律や条例などで規制が設けられています。たとえば、住居系の用途地域の場合、接している道路の幅員に0.4を掛けた数字が、その敷地の容積率です。この場合、接している道路の幅員が4メートルの場合の容積率は、4メートル×0.4=160%となります。
つまり、容積率の上限が同じエリアの敷地でも、接している道路の幅員によって容積率は異なる場合が生じるわけです。接している道路の幅員が敷地の評価に関わってくる理由はここにあります。
まとめ
法律によって定められた都市計画地域や準都市計画地域の敷地では、建物を建てるために「接道義務」を満たす必要があります。接道義務とは「幅員が4メートル以上の道路に、間口が2メートル以上接していないと建物を建築できない」という規制のこと。
このため、接している道路が4メートル未満の場合、接道義務を満たすために、敷地を後退させる必要が生じます。これを「セットバック」と呼んでいます。セットバックの部分は道路に提供するため価値がなくなることに。その分、敷地が低く査定されることとなるのです。
このように、敷地の価格は、面積や最寄駅からの距離に加えて、さまざまな要素が加味され、評価されていきます。敷地の価格には同じものがなく、現地を見ないと正確な査定ができないのはそのため。机上査定の評価額はあくまで参考程度と考えたほうがいいでしょう。
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